背景と内容

高度情報化社会と省エネルギー循環型社会を両立する次世代社会の構築に必要な高性能・省エネルギー情報処理を実現するために、システム・デバイス工学を活用した次世代高機能低消費電力計算機に関する基礎研究を行っています。

背景

高度情報化社会を支える電子機器は、社会のニーズに応えるべく更なる高機能化を要求され続けており、将来もこの状況は継続されると考えられます。電子機器の中枢である計算機の高性能化と低消費電力化は、これまでCMOS集積デバイス・回路技術の向上によって達成されてきました。しかしながら、従来法あるいはその延長線上にある方法を用いた場合、それらの持続的な達成は困難となっています。こうしたことから、新しい動作原理と情報処理法を利用した超高性能・超低消費電力な次世代計算機の実現が強く望まれています。一方、単に高性能化と低消費電力化のみを追求するのではなく、新機能を付加した計算機や、機能の書き換えが可能な計算機など、様々な計算機の開発が行われています。これは、電気機器のアプリケーションによって求められる性能が多様化した結果であり、こうした多様化は今後もより一層進んでいくと考えられます。

目的

生物の脳は従来の計算機の情報処理法とは全く異なる方法を用いており、コンパクトで少ない消費エネルギーでも高機能な動作をしています。こうした生物の情報処理にヒントを得た脳型コンピュータは、多くの演算ユニット(ニューロン素子)がうまく結合され、並列分散処理によって効率の良い情報処理を行う特徴があります。こうしたことから、脳型コンピュータはCMOS集積回路とは異なる次世代高機能低消費電力計算機に応用できる可能性があり、多くの研究者たちが研究をおこなっています。しかし、脳型コンピュータを実装するには多くの課題を乗り越える必要があります。例えば、将来的に生物脳に相当する大規模低消費電力脳型コンピュータを実装するためには、演算デバイスあたりの消費エネルギーを著しく引き下げ、また演算デバイス間の結合を高効率化する必要があります。こうした問題を解決するためには、「どのような設計に基づいてアルゴリズムを動作させるか」、「どのような出力特性を持つデバイスをどのように集積していくか」といった、システムとデバイス両者の基礎的な課題に対して、相補的に研究を行っていく必要があります。

本講座ではシステム研究者とデバイス研究者が協力して研究を行っています。学問背景の異なるメンバーが共同研究を行うことで、従来とは異なる全く新しい発想に基づく情報処理技術の開発が期待できます。

教育活動

本講座では、上記の研究分野と関連分野における大学院生の教育と国際的な若手人材を育成にも力を入れています。本講座の教員は、大学院工学系研究科・電気系工学専攻で修士・博士課程大学院生を受け入れています。詳しくは各教員の紹介をご覧ください。

社会連携講座について

社会連携講座は、公益性の高い研究課題について、東京大学と企業等が共同研究を行うものであり、東京大学と企業等との契約に基づいて企業等が負担する共同研究経費によって運営されるものです。東京大学と日本アイ・ビー・エム株式会社は、研究開発型企業向けインキュベーション施設である、かわさき新産業創造センター(KBIC)に社会連携講座を開設し、平成24年度より共同研究を行っています。